2006年03月31日

「寝腐れた国へ」


反論するつもりは、ない。
「正論」だ。
「大切なこと」なんだろう。

確かに?
俺は、その「正論」を「世論」に置き換える。
そう、食うために、な。
だが、正直、どうでも良い話だ。
俺にとってはな。

しかし、考えても見ろよ。
声高に叫ぶことのものか?

「言葉」の衣の下に「権威」が見え隠れしているお前の言葉。
「着飾った言葉」「与えられた言葉」「押しつけられた言葉」。
そう、言葉、言葉、言葉……。

彼らは、その言葉に「NO」と反応したまでさ。
「表」を飾ることだけに心を配る、その言葉に。

なぁ、一度たりとも、心のドアをノックしたことがあるかい?
ドアの隙間から、お前をみつめる瞳の奥をのぞいたことがあるかい?

その瞳は、お前に、何を語りかけていた?

分からない?
目のチリを拭って見ろよ。
どうせ、何も見えはしないだろうが。

せいぜい、「正論」とやらを吐き続けろよ。

俺の思いは、「我が亡き後に、洪水よ来たれ」だ。

根腐れた国の行方なんかに、興味はない。

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2006年03月29日

ジャック・ブルースの独り言


嫌でも思い出すさ。
忘れようたって、忘れられねぇ。
今でもな。

街を歩く俺にとっちゃ、風は冷たすぎるほどだ。
コートのエリを立て、風の道を避けては通るが、身体は冷え込むばかり。
おかげで、セキがとまらねぇ。
春だってのに。

街路灯に映える夜桜は、俺の心を温めるどころか、思い出したくもねぇ、記憶がよみがえる。
ああ、いつの頃か、忘れられないほどの、様々なことどもが列をなして。
影のように忍び寄ってくるぜ。

タバコに暖をとっても、温みもしねぇ。
一息吸うごとに、胸が苦しくなるばかりだ。

おう吐にかられ、公園の柵にうずくまっていると、手前の影が目の前にちらほらと。
「止めてくれよ。お前には、関係がねぇ」。
胃の中には、吐き出すものもありゃしねぇ。

でもよぉ、そのまま、柵にもたれ、夜空を眺めていると、何もかもが止まっちまったようにうつるぜ。
ああ、時の鐘も。
不思議なもんだ。

目の前には、虚栄の街が重なっているぜ。
様式化されたシアトリカルな構造。
暖を欲しければ、すぐぞばに。
金さえ払えば、何でも手に入る。

俺の街は、こんな街だったのかい?

ため息をつくには、十分すぎるほどだ。

瞬く星々に、街灯りに薄く光り射す月明かり。
柵にもたれながら、何の考えもなく、ボォーッと夜空を眺めていたさ。

ああ、意味がねぇことだ。
この世に、意味があるとすればの話だが。

タバコを吸い込むと、またぞろ、セキが出やがる。
力のないカラ咳が、俺の傍らを過ぎていくぜ。

独り、闇の中にうずまったまま、俺は、ぼんやりと、この無意味な世界に身を腰かける。
腰掛ける椅子があるならばの話だが。
吐き出す煙は、宙に消えていくものさ。

あと、どのくらいだ?
教えてくれ。

俺は、たどり着くことができるだろうか。
あのベンチまで。

今でも。
忘れようたって、忘れられねぇよ。
ああ、嫌でもな。

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2006年03月21日

「ネギー」


歩幅は違うものさ。
だけど、君が立ち止まったら、追いつくだろう。
俺が、早足だったら、歩みを遅くするよ。

この凍てついた街で。

この街では、誰もが急ぎ足だ。
喪失した時間を追い求めて。
自分自身を必死で納得させるために。

口を閉じて、聞き耳を立てていれば、色々な事を学ぶ。
眼をあけていれば、時に、嫌なモノを見てしまうこともある。
“ショック”を受けたら、“クッション”を置けばいい。

視点は違うものさ。
だけど、君が、岩に足をかければ同じ高見だ。
俺が、身を屈んだっていい。

この深い森の中で。

闇に姿を見失ったら、マッチの炎で照らそう。
炎で、君のくわえた煙草に火を点けよう。
少なくとも、これで、足下は見えるだろう。

耳を澄ましていれば、沢の音が聞こえる。
迷ったら、尾根を目指せ。
決して、闇路を降りるな。

呼びかける声のトーンは違うものさ。
俺の低くくぐもった声が聞き取りにくければ、サインを送ろう。
君のささやきが伝わらなくとも、気配で感じる。

このコヨーテが鳴く平原の中で。

大地に吹きつける冷たいに風には、背を向けろ。
俺は、火を絶やさないように、暖に薪を。
君は、水を絶やさないように、恵みの雨を。

隔てた有刺鉄線に躰を巻かれるな。
君が、境界線を越えるときには、手を伸ばそう。
俺が、国境を越えるときには、手を離さないでくれ。

叩きつけられるコンクリート。
落下する渓谷。
身を横たえる砂漠。

青白い月の影が消えるまで。
サン・アントンのネギー。
スパニッシュ・ローゼズへ。

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2006年03月20日

「風のうつろなうなり」


暗がりの中で窓辺に座り、風のうつろなうなりに思いを重ねていると、忘却の淵に沈んでいた記憶が、突然、「闇」という布の上にインクのシミのように広がりはじめた。

あれは、いつの頃だろうか。はるか、昔のことなのか。
それとも、時の数え方によっては、それほど昔のことででもないのかもしれない。
いずれにしろ、「記憶」という落とし戸の下の奈落が開け放たれ、奥底に沈め込んでいたはずの「過去」という断片の「ひとかけら」が、まざまざと眼の前に浮かび上がってきた。

静まりかえった部屋の中で、独りベットに横たわり、月明かりに浮かぶ木々の葉の影におびえていたあの頃が。
あのとき、あの場所で、過ごした、あの頃が。

廊下の壁にできた影の中で、その影に身を寄せながら。
無慈悲に過ぎていく季節の中で、風に涙を、風に笑い声を見続けていた。

以来、無量の歳月を重ねてきた。
意識の水面下に「過去」を強引に沈め。
瑠璃色をした水底に真昼の月が潜むように。

奥深いところに隠れ、眠っていたような感情が、堰をきったようにあふれでてくるとき。
感情という波に引きずり込まれながら……。
満ちては引いていく潮のように繰り返される葛藤に溺れながら……。
押し流されまいと、必死に過ごす。

いつしか、言の葉を摘んでいた。

悲嘆の差し潮が水を浸したまま、昼が夜に慈悲を請うように、闇の中に視界を濡らす。
風が哀しい音をたて窓を叩いたとしても、閉ざされた常闇の中で
……炎に揺らめく「影」だげが、暗影の胸をふたぐ。

多情に飢えた月回は、何を刻んだのだろうか……。

いつしか……風が、吠えはじめてきた。

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2006年03月19日

「夜想」


心が疲れているわけではありません。
少しだけ、躰が疲れているようです。

籐椅子に身を沈めていると、『タイスの瞑想曲』の調べが心地よく、このまま時間が止まればと。

こんな晩には、何をするでもなく、じっとランプの灯火をみつめています。
灯火は、時折り流れ込む冷気に、ものどもの影を揺らしています。
揺らめく影は、我が身のように細く、頼りのないものです。
そんな頼り気の無い影を眺めていると、遠い昔の思い出が、浮かんでは消えていきます。

あれはいつの頃でしょうか。
独り、闇に抱かれ、時を刻む音に耳を澄ましていたのは。
真っ青な月明かりに浮かぶ木々の葉の影に、おびえていた小さき心。
白いシーツの冷たさに心震わせ、いつまでも帰り来ぬ人を待ち続けていた幼子。
遠く近くの闇夜に、身を固くしていたあの頃。

今ではもう、記憶の波間に溶け込み、おぼろげに浮かぶ遠い遠い心覚え。

あれから、いくつの季節を経てきたのでしょうか。
過ぎた歳月は、私に、何を示してきたのでしょうか。
季節は、あとどれだけ残されているのでしょうか。

揺らぐ影に、問いを発しても、無言(しじま)が続くばかりです。

風が窓枠を過ぎていきました。
ガラス窓の先には、芽吹く桜の老木が、夜半(よわ)に、独り、佇んでいます。
そして、天空の星々が、眠りにつこうとしています。

いつしか、時は、その身を深め、残夜を迎えようとしています。
ランプの灯火も、“マスネ”の優美な旋律に溶け込むように、灯りを点すようになりました。

やがて、時は、静寂(しじま)に終わりを告げ、薄明の始まりを告げるのでしょう。

もう少し、消えゆく灯火に心を預けながら、時のうつろいに身を委ねています。
posted by Jhon Done at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | それだけのことさ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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