2006年04月20日

「Golden sulumber」



そろそろ、一日が終わりそうかい。

それとも、まだ、心を沈ませているのかい。

どうして、一瞬一瞬を覚えていなければならないんだい?
次の角を曲がったら、何があるかだなんて、誰に分かる?
どれが正しくて、どれが間違っているかだなんて、誰が分かる?

「A」が違っていたら、「B」がある。
「B」が違っていたら?
アルファベットは、まだいくつもあるさ。

気が滅入っているようだったら……。
それとも、過去の出来事が未来に忍び込もうとしているのかい?
そんなときは、心のプラグを引き抜いて、
受話器からフックを外してしまえばいいのさ。

そして、悲しみのシーツを取り替えて、
月影が落とす長い影に、身を滑り込ませれば……。
やがて、まどろみが迎えにきれくれるさ。

当分、世界は滅びそうにもないって話だぜ。
少なくとも、「明日」は、確実にやってきそうだ。
だったら、「明日」に託せばいいさ。

さぁ、灯りを消して。
静寂の「時」の世界に身をまかせるのも良いものだ。

過ぎゆく、今日に、「サヨナラ」を。

Good night & Sleep tight

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2006年04月19日

「TAXI DANCER」


陽が落ちれば、夜は冷たいもんさ。

俺の言葉なんて、聞くたくも無いだろうから、この手紙は、「封」を切らずに、そのまま捨て置いてくれたって構わない。

ただの独り言だ。

街を流していると、色々な客が俺を捕まえようと、必死だ。
この不景気だっていうのにな。
送り届けてやるだけで「チップ」をはずんでくれるさ。
ま、その間、色々な「話」につきあわなきゃならないんだが。

それで、ちょっとしたことを小耳に挟んだんだ。

ドラッグストアの前で、赤い傘を差していたお前の事をな。

ダンスクラブで踊るお前は、この街じゃ、ちょっとは知られた顔だ。

それが、スーツケースを持ったまま、店の前で佇んでいたって話しだ。

車がはねた水しぶきで、コートを濡らしながら、誰を待つでもなく、立ちつくしていたと、客は、お前のことを、そう話していたよ。

お前にとっちゃ、余計な節介かも知れないが、俺にとっては、気になってな。

それで、客が途絶えたときなんかは、あの周辺を巡ってみたさ。
もちろん、店にも顔を出した。
お前は、いなかったがな。

それが、週末の話しだ。

噂では、「街を出ていった」って聞いたよ。
一曲1ドルで、にやけた野郎とダンスの相手をすることに飽きたんだろう、お前。

“ブルー”になっちまったのか?
割れた鏡のついたコンパクトをいつまでも、大事にしていたお前。
“夢”が壊れれちまったのか?

お前を傷つけちまった俺には、何も語る資格は無いが。
お前の沈んだ“瞳”が浮かんでしょうがないのさ。

今では、お前が、何を思い、何を望んでいるかなんて、知るわけもないがな。
ただ、お前の誕生日には、気のきいた香水くらいは、贈ろうと思ってもいたんだ。

それが、驚いたよ。
“リトル・マーマメイド”のあの店でお前を見つけたときには。
スツールに腰かけ、シガレットに火を点けながら、隣にいた奴と談笑していたお前の姿を見かけたとき。

店の中は、満員で、腰かける椅子もなかったが、戸口でお前を見つけたときには、心臓が張り裂けそうにもなったぜ。

喧噪に、紫煙が渦巻く中で、一際、光っていたお前。

一瞬、お前は振り向いて、俺を見た。
「時」が止まったかと思ったぜ。
そう、一瞬だったがな。

この街に、戻ってきたんだな。
“TAXI DANCER”

お前の席に、近づこうと思ったが、やめにした。

ラスト・オーダーには、まだ、十分、時間もあったが、俺は、街に車を流しに出ていった。
また、お前と会えると思ってな。

ホッとしたよ。
昔のような、輝いていたお前を見たときには。

俺は、ドラッグストアの傍らで待っている。

この手紙を読もうと読むまいと。
傘を持ってな。

曇っていても、晴れていても。
お前のために傘を差すためにな。

赤い傘を。
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2006年04月18日

「珈琲&シガレット」



灰皿に眠る吸い殻を数えるのをやめた。
火を点しては消し、消しては点すとことの繰り返し。

のどの渇きは、珈琲では、いやされることがなかった。
むしろ、5杯目あたりから、胃に痛みを覚えはじめていた。

腕時計に視線を落とす。

いったい、何を聞き出したいのかい?
いったい、何が知りたいのかい?

無意味な言葉が宙を乱舞し、交わることの笑みが互いの間をすり抜けていく。

十分すぎるくらいに、時は経った。

愛想を振りまけば良かったのか。
シニカルな冷笑を浮かべれば良かったのか。

それとも?
君たちのシナリオにそって、期待通りのセリフを、そして、表情を、店内の喧噪にとけ込ませれば良かったのか。

ただ、あいにくなことに、俺は、シナリオに目を通すことも、目を向けることもなかった。

吸いかけの煙草を、灰皿に押しつぶすと、残紺の糸が渦を巻きながら、宙に消えていく。

理解と無理解の重ね合いが、螺状線を描きながら過去へと消えていくように。

十分、時は経った。
灰皿の吸い殻が、数え切れないくらいに。
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2006年04月17日

「倦怠の内に……」


昨日と今日という道具立てに、何の変化があるのだろうか。
あいも変わらず、時計は歩みを続けている。

16日の次は、1日を積み重ね、17日となる。
それだけなのに。

にもかかわらず、憂鬱な朝を迎えた。
昨日まで、記憶の外に追いやっていた、色々なことども。
それらが、茫洋とした意識の中に。

「車輪疾駆の叫喚」と題されたパズル絵。

かけた空白。
ピースが“記憶”を引き戻す。
歯車の回転は鈍いものの。
耳障りなスタッカートのリズムをともなって。

そして、「日常」が完成される。

再び、氾濫するむなしい情報の渦中に身を投じるのだろうか。

答えの分かりきっている問いかけ。
自身に発しながら。
手帳に刻まれた一条のレールの上を沿う。

束縛を断ち切り鎖を解き放ったはずの精神。
再び、虚偽に満ちた世界の中に、「痛み」を覚えていくのだろうか。

狂想曲に追い立てられるようにして。

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2006年04月16日

「レイン・バード」



この世は悲しい?
そう、そうかもしれませんね。

君の「瞳」に浮かんだ「涙」を、ぬぐい去ることができませんでした。

昼間、篠突いでいた“銀の糸”が、午後の名残りから闇が深まるにつれ、突き刺すような“銀の矢”へと変わっていきました。

君は、覚えていますか?
公園のベンチで、凍てつく雨に打たれながら、つぶやいたことを。

誰が雨を止めてくれるの。
誰が悲しみを和らげてくれるの。
誰が痛みを鎮めてくれるの。

木々の葉の間に身を隠した、蜘蛛の巣が心細そうに揺れていましたね。

苦しみよ、風に舞え。
哀しみよ、風に詩え。

「この世は悲しい?」

銀色の雨粒を滴り落としている楡の木。

しかし……。
しかし、美しいはずです。
もっと豊かで、もっと素晴らしく、そして、もっと自由で。

そう、信じています。
虚しさは希望へと、哀しみは喜びへと。

やがて、雨は、すべてを押し流していくことでしょう。

君の心に沈んだ哀しみや痛みが、塵芥とともに消えていくことを、祈っています。

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2006年04月15日

「五指に余る月回に、遠く過ぎた『今日』に」



色彩(いろ)を失った風景。
「時」は姿を変える。
そして、「人」も。
全てが「セピア」色に。

常に、時代は、我々の「存在」を消し去ってきた。
堕した世界の中で「産」みだされた我々を。
「子供達」の無言の叫びを。

五指に余る月回に、遠く過ぎた「今日」に。
「美しく」、そして、「忌まわしく」もある記憶を。
陽も差さぬ「神話」へと誘う。

「闇」の中で、ひっそりと「息」を殺し、誰ひとりとして抗うこともせず、レールを引く「幼心」。
語り継がれた「ノスタルジア」は、無数の“欺瞞の”渦に飲み込まれていく。
そして、遠く過ぎた「今日」は、「永遠」の火まわりにくべられ……消えていく。

闇の中に……、
闇の中に……、
闇の中に……。

眼の“チリ”を払いのけろ。
聴く者は、“耳”を傾けろ。

代価を支払う時がきた。
幻想を形づくり、「表象」を“糊塗”してきた者達が、対価を支払うべき時が。
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2006年04月14日

「シュガーコート」



その程度の認識か。

“エサ”を貰いすぎてしまうと、“物”が見えなくなってしまうんだな。

立派な分別が、邪魔をするのかい?
ためいきをつくだけかい?
「分別」は臆病に。
「許容量の深さ」は、諦めに。
“大人”になったな。

君への“メッセージ”だ。
「告げ口をして身を守れ」
“黄金律”
「裏切ろうとしている者には、ことさら親切に」

“改革”?
笑わせないでくれよ。
「おためごかしの服芸、茶番を演じ続けろ」
“富”と“名声”の出世レースに駆り立てられ、高速輪転機から印刷される“紙幣”に心奪われる君に贈る言葉だ。

「道標」だって?
止めてくれよ。
それこそ、思考の束縛、低姿勢の“ファシズム”だ。

「周到に準備された答え」
「欺まんの質ではなく、繰り返すこと」
それが君の、そして、君達のやり方だろ。

云わせてもらうぜ。
”厚顔無恥の一般概論”
各論は?

根が腐っているとどうなる?
そろそろ、“ツケ”がたまってきたんじゃないのかい?

なぁ、眠れるかい?
「現状維持」と「心地よいぬくもり」を、もっとも愛している君が、睡眠不足に陥っているんじゃないかと思ってね。

もう一度、聞くよ。

枕を高くして、眠れるかい?
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2006年04月13日

「バックレディ」


お願いだ、教えて欲しい。
バックレディ。

降りしきる雨の中で、傘も差さずに。
裏通りで唄うバックレディ。

一輪の花びらを帽子に飾り、着古したダークグレーのロングコートに身を包みながら。

Jesus' blood never failed me yet

と誰にもかえりみられることなく唄う、あんたのことだ。

 "It's one thing I know

胸がつまりそうになっちまうんだ。
あんたを見る度、心臓が高鳴り、涙を乾かすのに。

“それは私が知っている「一つ」のこと”

「奇異」な眼で見ていく奴が多い中で、唄い続けるあんた。
バックレディ。

never failed me yet

あんたの哀しみ、喜びを、教えてくれないか。

裏通りで、途方にくれちまった……俺のために。
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2006年04月12日

「長崎の友人へ」



一人は、「エマオ」への道を歩み続けていた。
一人は、「テアトル」への階段を昇り続けていた。

そして?

一人は、右手に「愛」を、左手に「希望」を、言葉には「真実」を携えていた。
2000年前に生きていた、ある「男」のことを、今に、伝えるために。 

一人は、「スポットライト」の世界から身を引いていた。
螺旋状の階段の踊り場で立ち止まり、吹き抜ける「風」に身を凍らせながら。
果てしなく続く連鎖を、断ち切った。

一人は、「牧師」となった。
十字架から降ろされた「キリスト」の「愛」を。
灯火をかざすために。

一人は、「生活人」として、市井に生きている。
「非日常」と「日常」の空間を行き交うことも無く、 不毛の地に「ライラック」を咲かせるために。

ある時期に、ある場所で、交錯し、ともに同じ「時」を過ごした二人の友人。

過ぎた歳月は、三人の歩みを少しずつ変えさせていた。
だが、それは、ただ、それだけのことだった。

一人は、この暗い世に、「灯り」を。
一人は、人々の生活に、「彩り」を。

そして?
そして、俺は……。

言えることは、三人、それぞれの「生き方」が続いていく、ということだ。

「物語」は続いていく。

互いに、どこかで交錯しあいながら。
これまでと同じように、そして、これからも。

そう、これからも。


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2006年04月11日

「せめて、今夜だけは」


あの日、君は……。

君は望んでいないだろう。
けれども、今夜だけは。

自尊心も尊厳も奪われ、無防備なまでにたたずんでいた君。
心の中の何かが壊れかけていた。
それが痛むとき、君は、騒いでみせた。
明るく振る舞うことで、さまざまな感情を落とし戸の底に埋め込みながら。

確かに、誰も、他人の荷物の重さなんか分かるはずはない。
それだけに、君の痛々しさが。

涙の交じった笑い声。
胸の奥にくぐもる夢やあこがれ。
哀しみや痛み。
まるで、途方にくれた小さな雛のようだった。

あの日、君は、チップを換金すると、いとも簡単に、ゲームから降りた。
破れた夢の重さに耐えかねた、あの日。
深い孤独の影に身を投じた、あの日。 
しばられた過去に、永遠の別れをつげた、あの日。

独り、壁に向かって、「さよなら」と、
日々の生活という織物を引き裂いた。

あの日、俺は、全てにまいった。
受話器から聞こえてくる、君のささやき。

「世の中って、そんなにひどいところじゃないよね」
沈黙の世界に残された最後の言葉。

逝った者が心にのしかかるのは、目の前からいなくなったことではない。
言わなかったことがあるからだ。

「ひどいもんじゃないって?」
「世の中はひどいところだ」
「身も心もすり切れる夜を過ごしてきたさ。腰掛ける椅子さえ無くしたこともある」
「けれども、このクソったれの人生で学んだことは、いくらでも『道』は、あるってことだ」。

喪失感に襲われながら、確実に、小さくなっていくこの世界に。
俺は、歩き続けるだけだ。
これからも。

人は来て、そして去っていく。
そこに、何か、意味があったとしても。

だから、今夜だけは……。

夜が明けるまで、独り、麻痺した酔いに包まれながら、
頬につたわる「感情」の結露に浸っていたいんだ。

君が、望んではいないことは分かっているが。
せめて、今夜だけは。

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2006年04月10日

「フォーリスト」



もう“森”に帰ることはできない。

“プロローグ”
あの“夜”の夢のようには。

始まりは、チャイコフスキーの“セレナーデ”

〜パ・ド・ブレ〜

“小さな妖精”

“歌う”ように歩く君。

“薔薇”色に彩られた部屋。

“安堵”の笑みを浮かべながら眠る君。

ひととききらめいた“夢”

君は“春”を待ち、俺は“秋”を待っていた。

そして、季節は……夏の森の……匂い。


菩提樹
柏の木
栃の木
樅……?

“小さい頃の想い出”
はしばみ、とねりこ、すずかけ……。
『夏の朝霧の匂い……』

“霧”……夏の名残の滴り。
行く風を惜しみ、来るべき季節……。

……迎えるはずだった季節。

“エピローグ”

闇に沈む“森”

終わりは、ワーグナーの“ローエングリン”。

もう、あの“森”に、帰ることはできない。
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2006年04月09日

「ブルーベル」




過去の森。
さまよい続ける君。
“ブルーベル”

鳴り響く電話のベル。
か細い声。

飲みさしのワイングラス。
右手には、睡眠薬。
そして……傷跡。

虚ろな瞳。

「白、それとも、黒?」

涙の交じった笑み。

君が求めるもの、求めたもの。

かすかな、すれ違い。
不確かな将来。

99の“偽り”

1つの“真実”


奈落に続く“落とし戸”。
扉は開いたまま。
いつでも……君は。

伝わぬ言葉。
耳を閉ざす君。
そして……。

突き刺さる“棘”。
「痛み」
癒されぬ傷口。

月影もささぬ深い森の中で。
身を潜め、ひっそりと咲く「ブルーベル」。
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2006年04月08日

「閉じたままの物語」


甘くセンチメンタルな過去への郷愁。

それは……。
エリオットが、もっとも残酷な「月」だと称した「4月」の物語。

始まりは、パンフルートの奏でるメロディ。
不毛の地に“ライラック”の芽が開く。

駿雨の中を、飛び回る“花咲ける妖精”。
木々の葉に憩うその横顔は、甘やかで美しく。
そして……傷つきやすく。

“失われた時を求めて”

“ユリシーズの瞳”

一瞬にして花の季節を告げる。
冷たい風を、やわらかな陽射しへと。
“光の輪”の中で踊る。

やがて物語は……燃えいずる季節へ。
“羽”を終えた“妖精”。

エリオットが称した「月」に。
終わりの“鐘の音”も聞かずに。
季節の風に、その身を溶け込ませていった。

やがて……。
物語は、静かに、幕を降ろした。

全てが……そう、全てを、「幻想」と記された“小箱”へと。

今でも、紡がれた物語は……。

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2006年04月07日

「スノッブ」



「君は、苦悩を気取ったトラジディー、そのものだね」。

トレ・ビアン。

いいや、「トラジコメディー」さ。
しょせん、ポーズだ。
三文オペラにもなりはしない。

ここは、君たちの安寧の世界だ。
十分に、安住すればいいさ。

俺は、「破滅」の坂道を転げ落ちるように、「奈落」へと突き進むように。
それでいて、「救い」を求めてきた。

その姿は、まるで、いたずらに山頂まで石を運ぶシーシュポスだ。

積み上げては崩し、崩しては積み上げる。

「幸福」という名の存在に絶えかねると、それを、いとも簡単に壊す。
その繰り返しだ。

人生よ、俺は、お前が愛おしい。
だが、狂おしいまでに、お前を愛することはないだろう。

人は、どこまで遡ることができる?
人は、どこまで進むことができる?

これまでの歩数を数えることなんかできはしない。
未来の夢を奏でることなんか、できはしない。

いや、数えたくも、そして、奏でたくもないんだ。

どうして、埋めてきた落とし戸の扉を開け放たなければならないんだい?
どうして、腐食剤のようにかじりだされた命に目を向けなければならないんだい?

いいや、やめよう。

そう、ご指摘の通り、裏をかえせば、茶番を演じるスノッブさ。
屋根裏部屋のエセ・インテリ。エセ紳士だ。

君たち以上の、俗物さ。
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2006年04月06日

「ある娼婦のララバイ」



窓枠を通し、樹木の間から青白い光を放つ満月があらわれていた。

疲れていた。
全てに。

かたわらでは、女が、死んだように眠っていた。
横顔が、蒼光の月に照らされて。

女の寝息に耳を澄ませながら、俺は、煙草に火を点けた。
一息、宙に吐くと、月明かりに紫煙が立ち上る。

“出口”の見えぬ迷路の中で、彷徨っていた。
月回で数えるならば、25の時。

ベッドから身を起こし、月明かりの届かぬ先をみつめていた。

やがて、気配を感じた女は目を覚まし、左肩に身を寄せてきた。

女は、細長い指で、俺の口元から煙草を引き寄せ、一息吸った。

むせいだ女は、一瞬、笑みを浮かべると、月明かりに映る俺の顔を覗いた。

女の瞳に浮かんだのは、石のような冷たさを伴った俺の瞳だった。

女の表情が凍りつくように変わっていくのが分かった。

俺は、煙草を取り上げ、視線を外すと、再び、紫紺の糸を立ち上らせた。

女は、売っていた。身を。
住むところのなかった俺は、ころがりこんだ。

打算も、押し売りも、あの男女関係にありがちな、妙にいやらしい駆け引きもなかった。

視線を返し、俺は、笑みを浮かべた。

瞳に雫を浮かべ、じっと俺の影をみつめていた女は、安心したのか、身をベッドに沈めた。

「明日、晴れたらいいね」
哀しいくらいに、“欲”の無い女だった。

俺は、吸い殻入れに煙草を消し去ると、ベッドに身を横たえた。

「ホントに」
女の安堵のため息が、消え入るように影に吸い込まれていった。

いつしか、月の光は、まどろみへと変わっていた。

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2006年04月05日

「都会の憂鬱」


静まりかえった編集部内で、タバコに火をつける。
紫紺の糸が、流線を描きながら立ち上っていく。
都会の塵芥が、夜景に染まり、街灯りも徐々に闇の中に消えていく頃合いだ。

「憩い」の時を得る。
締め切りの後。

最後の記事を書き終え、制作部に記事を送稿すると、散乱したメモの間から灰皿を引き出し、冷めきった珈琲に口をつける。
その時ばかりは、全ての縄目から解きほぐされたように、わずかな「安息」の秒刻に浸ることができる。
あの「出口」のない迷路を歩き続ける「倦怠感」から唯一、解放される一瞬だ。

「疲労」と「幻滅」の世界をさまよい歩く。
神経を切り刻み、ドロのような汗が背中に染みついたような不快感をともなわせながら、
ネタ探しに奔走する。
自身をクエスチョンマークに仕立て肥溜めのようなこの世界の中で、せっせとメモをとり続ける。

誰かが言った。
「お前は、感情を持つことを避けるために仕事をしている」と。
「いや、苦痛を感じないようにしているだけさ」。

分かることがある。
仕事があらゆる人間関係に染みこみ、常に人を猜疑の眼で見、相手の動機を探り、その強みと弱みを見いだそうとする、瞳の奥に隠された冷たい眼を。
時に演技し、相手の心を読み、同時に、他人との間に越えがたい壁を築き上げる、その姿を。
絶えず、対象と距離を置き、諦観で人物や社会をシニカルな眼で見つめ、皮肉なユーモアを織り交ぜながら、優しさのかけらもない取り澄ました微笑みを浮かべるその表情を。

「ジャーナリスト」などと気取るつもりもない。
この肥溜めのような世界を「綺麗」にしようとも思ってもいない。

ただ、「迷路」をさまよいながら、メモを取っているだけだ。
そう、知ったかぶりのクソったれどもから、無用の「意見」を引き出して、それを「記事」にしているだけさ。

珈琲にバーボンを一滴垂らすと、口の中に、苦みが広がった……。

まるで、無駄な言葉に溢れた、この世界のように。

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2006年04月04日

「ニックに」


どうしたんだい?
疲れきっているのかい?

今は、ただ、休養が必要なんだよ。
そうだ、クラブソーダでも飲むかい?
一杯飲んだだけでも、気分は良くなるぜ。

糸の切れた操り人形の気分かい?

どんなものにでも、終わりはあるさ。
そして、終わりには、必ず、ほろ苦さがつきまとう。
ホッとした気分と同時に、半面、悲しさが……かすかに漂う。

永遠に続くものなんてありはしない。
始まりには、終わりが。
動きだしたものは、必ず止まる。
これが、スタイルだ。

そう、終わりが。
そして?
一つのことが、もう一つのことに連なっている。
そう、これもスタイルだ。

だから?
いつまでもグラスを眺めていないで。
明日のために、今日、最後の杯を交わそう。
そして、乾杯を。

ニックのために。
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2006年04月03日

「明け方の4時54分」



席を立つ“君”
棘のような“キッス”
“ノーバディ”

明け方の4時54分。
“ノーガハイド”のボックス席。
まとわりつく“ブルース”

くしゃくしゃになったパックから最後の一本。
冷め切った珈琲。
眠たげなウェイトレス。

“モノローグ”
「The End」
凍てついた心。

濡れた舗道。
消え去る面影。
“ソー・ロング”

ブルージーなバラード。
夜明けをつげる“オヴァチュア”
“ブルー・アベニュー”

降りしきる銀色の“糸”
全てを洗い流す。
過去も未来も。

聖なる夜が、卑俗なる夜に。
“ララバイ”

眠りから覚めた“ブルー・アベニュー”
“グッド・モーニング”
そして?
“グッド・ナイト”

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2006年04月02日

「John Done」


彼のあだ名。
“肥溜めジャック”
または?
“ゴミ箱ジャック”

“トリッキー・ウェル”

そこで経験したことを、あれこれ言えるぐらい、十分、長くそこにいた。

“虚構”を“事実”らしくみせる“世界”に。

彼の視点。
「シニカル」。

自分たちが「“世界”を支えている」と信じる、度し難く“尊大”な奴らの中を、うろつく“肥溜めジャック”。

彼の口癖
「クソッタレ」。

彼らの合い言葉。
「使えるべき主人は多い。旗幟を鮮明にするな」。
彼のアイロニカル。
「賢明だ。賢い心に乾杯!」。

彼らの手管。
「“慣例”のカードが2枚に、“玉虫色の答え”が3枚」。
賭率は?
“1:9”
彼の手札。
「“クィーン”と“ゴミ箱ジャック”」。

“欺まん”を“真実”だと信じる世界の住民に、うつろな“常套句”を“リライト”する“トリッキー・ウェル”。

“キャッチ”が狂喜し、“リード”が乱舞する世界。

彼の文句。
「11を逆から数え、忘れちまえ」

“肥溜め”の中で、“メモ”をとっていた“ジャック”。
“宝”を探して、“ゴミ箱”をあさる“ジャック”。

彫刻された「文体」、卓越した「会話」、洞察に富んだ「諦観」、皮肉な「ユーモア」。
そして?
“ペーソス”

“トリッキー・ウェル”

今では?
「John Done」
それが、 彼の名。

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2006年04月01日

「Miss You night」



スツールから立ち上がった君は、言い放った。
「あなたは、いつでも、手を引けるように」。
ざわついていた辺りの“風景”が、一瞬、凍りつく。

店内には、独り、“マーヴィン・ゲイ”の『What's going on』が「愛」を唄う。
『愛する方法を考えよう』と。
午前3時。

“ブルー”。
突き刺す“瞳”。
「あなたはもう、わたしを切り捨てたくて。でも、自分の言ってしまったことに縛れていて」。
2つの“鼓動”。
スツールの距離だけ離れ始めた“心”。

愛を歌い、崇高さを求めながら、愛に傷ついた“マーヴィン・ゲイ”。
傷つけたのは?
閉ざした心。

心に幾重にも積み重なった“響き”。
「あなたは、自分に向けられることには繊細だけど、他人には無神経」
吐き出された“反響音”。

“風景”の中から、浮かび上がる“視線”、“視線”、“視線”。
一つ、ひとつを消していく。

「誰かがわたしを、あなたの人生から連れ出してしまえばいい、と思っているんでしょう?」。
失せた“マーヴィン”のスピリッツ。
『話せば、分かるはずさ』
空回りする“言葉”、“言葉”、“言葉”。

“言葉”?

打ち震える心。
「違うなら、信じさせて」
瞳は、陰影をおびた“ブルー”

“マーヴィン”のリフレイン。
やがて、残夜に溶け込むように、消えていく。
“トリビュート”

「4月1日」

“Miss You night”

posted by Jhon Done at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | それだけのことさ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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