2008年09月08日

「いつも腰に痛みを」〜腰痛持ちの君に奉げるセレナーデ〜

俺の目の前には、毛足の長さ3センチほどの絨毯が広がっていた。
「こんないい絨毯敷き詰められるほど儲かってんだったら、俺の稿料あげろよ」と内心毒づきながら、「いてぇー」だの「ぐぇー」だのと奇声を発していた。

「歯の痛みと失恋は、他人には分からない」という言葉はあるが、そこに俺は、腰痛も加えたい。

哀れみに飢えている俺は、クライエント先で、腰の痛みをとうとうと語っていた。
顔をゆがめ、腰に手を当てながら、「息をするのもつらいんだぜ」と、スタッフ連の反応をうかがいながら、「ふーっ」と深いため息をつき、「こうして話すにしても、全身に痛みが走るんだ」と、同情を買おうと、ことさら演技を重ねた。
というよりも、実際に、痛みに耐えかねていたが。

俺が、ひとしきり、腰痛論をぶっていると、自称・整体師と称する社長様からのお呼びが。
「何、悪いことやったんだよ?」
俺のサラリーマン時代のボスで、俺を一人前の記者に育ててくれた恩義ある人物。

「そこに、腹ばいになれ」と自称・整体師。
ふかふかの絨毯に、身を沈めた俺。
「こうみえても、整体には、詳しい」
と俺の背中にのり、ツボ・マッサージとやらを。

ツボらしきところを押さえられるたびに、奇声を発する俺。
「お前、肉ねぇな」
「ええ、なんせ、稿料が安いもので、メシを食う金も……」
俺の頭をはたきながら、
「運動しろ」と言い放つエセ整体師。
社長室という密室の中で、2人の男が……。

と、卑俗な話をするのは、俺のスタイルではない。
とはいえ、知らぬ者が、この怪しい光景を見たらなんと思うだろうか、と思う昼前時の、ほほえましくもない光景。


【場転】


エセ整体士のおかげか、腰が軽くなった俺は、とある記者会見に臨んだ。
腰痛持ちの輩の悪い癖は、いかに自分の腰痛がひどいかを、自慢気に語るところ。
多分にもれず俺も。
他の記者連を前に、経緯・経過を仔細に。
そこに、悲しみの人・報道官が一言、「ぬるま湯につかって、腰をいたわってあげてください」と。
上層部とマスコミとの狭間に立たされること2年間、着任当初のはつらつとした面影は消え、いつしか、悲しげな表情をたたえるほどに、苦渋に満ちた人なのだ。
それだけに、いつもヘラヘラしている俺なんぞよりも、彼の方が言葉に重みがある。
腰痛持ちの同胞・同士なのだが、いつしか、主人公は、俺から彼へと。
なぜか、理不尽な怒りを覚えつつ、俺は、多少、刺のある口調で、「そろそろ会見じゃないですか」と。
うーん、いい加減、年相応の大人にならないとな、と一瞬だけ思った午後2時の、アンニュイな記者会見場からのレポート。

と、「腰痛」ネタで引っ張ってきたが、自身、書き連ね、面白くもないので、もう止めにした。
つか、こんなことを書いている時間があるならば、「アレ」を片付ければ良いと思うのだが、しかし、一向に気分がのらない。
果たして、年内に、発刊できるのかしらん。
「多分、無理だろうな」
なんてことを、彼を前にしては、口が裂けても言えない。
posted by Jhon Done at 00:00| Comment(0) | それだけのことさ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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