2010年08月09日

オン・シーズン

都西を足場に活動する「劇団サボテンアミーゴ」という劇団がある。
社会人主体の悲喜劇がウリの劇団だ。
以前、ここの連中の幾人かと同じ舞台に立ったが、本当に「芝居」を楽しんでいる奴らばかりだった。
それこそ、輝く「個」がぶつかりあい、板の上でハーモニーを形成していた。その「楽しんでいる様」は客席をも覆い、客様も楽しんでくれていた様子だった。

過去形で書いたのは、昼に夜を継ぐ売文の徒、それに5年前か? 「肺」をやっちまってから俺は、「表方」に立つ事はなくなった。

「また、舞台に」と仲間内から何度と無く連絡をもらっていたが、言葉を濁していた。
毎度、毎度の不義理では申し訳が……というわけでもないが、本体の「サボテンアミーゴ」が10月23・24の両日、「現代座」(東京・武蔵野市)で公演をするので、宣伝がてらこの板に。

近く、詳細をネットにアップするそうなので、要確認を。
いろいろと趣向を凝らし、「芝居」ならではの面白さを味あわせてくれる劇団だけに、興味を覚えたら、ぜひ、足を。


話は変わるが、初冬、この俺も、とある劇団の舞台にあがる予定だったが、「ケツ」をまくった。

水面下で進む媒体のリニューアルの話に、「場」を張るだけの体力があるかといった懸念が頭をよぎったが、けれど、これまでに幾度と無く声をかけてくれていたゆえに、そして、昔からつきあいがある奴のために、もと。
さらに言えば、「そろそろ『舞台』に戻るか」との思いから、二つ返事で承知した。
折り合いをつければ「時間と体力」なんてものはなんとかなるさ、との楽観的な観測をもって。

しかし、「役を纏う」ことができなかった。「役」に愛情を注ぐことができなかった。俺の読み取りが違っているのか? アプローチの仕方がまちがっているのか? 芝居感が狂っちまったのか?
詳細は避けるが、結果、「役」を降りた。

役者連にも劇団側にも、何も不満はない。「粋」と「勢い」のある劇団だけに関わる面白みはあった。
しかし……「譲る」ことのできないものがあった、俺には。


以前に、そう、かなり昔だが、「ケツ」をまくったことがある。
同じく社会人劇団で、創設から30年の歴史を誇った「劇団マイ・ウェイ」という芝居屋があった。外国劇が主で「ブラック・コメディ」のP・シェーファーやA・クリスティの戯曲をはじめ、「アルジャーノンに花束を」などさまざまな演目を。
社会人劇団とは思えないほど、衣装に小道具、果ては舞台装置と細目にまで凝り、徹底的なリアリズムを舞台上に演出いていた。
劇団を閉じる3年前くらいに俺も関わるようになり、いろいろと勉強をさせてもらった。
芝居3.jpg
■『招かれざる客』(作:アガサ・クリスティ)■

その30年間の幕閉じに「オリジナル」をということで、米国・ローゼンバーグ事件に材を得た『ローズ&ローゼズ』という脚本を俺が書いた。
脚本・演出のスタイルを俺はとらないので、演出家に指導をゆだね、(演助の立場の)俺と演出家、舞監の三者間で、連夜、配役から装置と打ち合わせを続けた。

脇を飾る役者連は、それぞれの持ち味を出し、脚本に彩りをそえてくれた。
けれど、主役の片割れが、俺の求めるレベルにまで達していなかった。
「生意気」ざかりだった当時、人生の大先輩に「ケチ」をつけていた俺。
演出家は「稽古を重ねれば」と、こちらの意を汲んでダメを出すが……。
けれども、無理だった。俺の求めるものが高すぎたのか……。

結局のところ俺は、劇団側に無理を言って、別の脚本に変えてもらった。
10年前、「毒薬と老嬢」で30年の活動の幕を閉じた「マイ・ウェイ」。
芝居を離れた者、演劇文化を根付かせようと郷里に帰った者とさまざまだった。
そして、その脚本は、デスクチェアの奥にしまわれたまま。


「ケツ」をまくる、との意味では違うかもしれないが、今回のことが俺を過去へと振りかえさせた。
「あのまま、上演していたら、どんなできだったのだろうか」と自問した。

社会人劇団、ストレートに言い表せば、芝居を愛する素人集団だ。
けれど?
舞台にあがれば、プロも素人も関係はない。
客様から「時間と金」をいただく以上。

だから俺は……それに、俺に残された時間が、後、どのくらいなのか知りもしない。それだけに……。


有象無象の劇団が、役者連がこのクソ暑い夏の中で、稽古に日を重ねている。
芝居のオン・シーズンを迎える秋に向けて。










posted by Jhon Done at 22:44| Comment(2) | それだけのことさ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わっつごーいんのん! よう!元気かい? うまくやってるかい?
…どこのどいつか思い出せない って?
もっともだ。ご友人知人の多い貴方のことだ。

ご無沙汰してます。
いい記事だね。
ずしん ときた。

お願いだ。再び、イカした記事をあげておくれ。
こっちは読みたくてウズウズしているんだ…。

じゃ、また。


Posted by miki at 2016年04月12日 18:39
たびたびで失敬。
連絡先を、失礼ながら。
それでは。
Posted by miki at 2016年09月25日 09:34
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