2008年07月31日

「心閉ざした君」

雨を告げる鳥たちのさえずり。
“レイン・バーズ”
やがて、雨が……。

傘も差さずに、歩く君。
“ストーン・ボーイ”
いつしか、誰もが君を、そう呼ぶようになった。

哀しみの感情を心に埋めたまま。
いつも決まって、君は、独りで……。

壊れた自転車を引きずりながら……。
いつまでも、公園のベンチにうずくまっていた君。

「ほんの些細なこと」
そう思うのかい、本当に?
本当に、そう思うのかい?

雨しぶきを走りすぎていく人々。
雨に打たれる君。

彼の“瞳”の奥を、一度でも、覗いたことがあるかい?

抱きしめる“夢”の破片。
砕けた「時」の欠片。

「コインボトル」「紙切れ」「賛美歌」……。
そして、「一枚の写真」。

“ストーン・ボーイ”
心閉ざした君。
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2008年07月01日

「時の欠片」〜言葉を重ねた君〜

君が詩い続ける哀しみのソワール。

『月夜の晩に拾ったボタンは、どうしてそれが、捨てられようか』。
心にしまい込んだ、一つの“ボタン”。

窓枠を包むカーテンの影で、つぶやいた君の一言。
君の傍らで僕は、君の視線の先を追い、小さくなっていく一つの影をみつめていた。

唇を動かすことなく、ささやく君。

夏の終わり。
窓ガラスを通してさしこむ、夕陽の残照。

その日を心待ちにしていた、君。

君の瞳に映る、かすかな面影。
からまった記憶の糸。
はにかんだ表情に、ときおりやどる戸惑いの影。

遠い過去に捨て去った「希望」。
抱きしめ続けてきた「時の連鎖」。
未来に刻み込んだ「夢」。

……けれども?

別れを告げる鐘の音。
闇に包まれる、夕暮れの名残り。
くだかれた、時の欠片。

言葉を重ねた君。
「サヨウナラ」。
闇に消えていく小さな影を、いつまでもみつめていた君。

……いつまでも。

そして、今でも。

心にしまい込んだ、時の欠片。
捨て去ることの出来ない、一つのボタン。
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2008年02月15日

「バレンティヌスの輝き」

聖バレンティヌスの殉教を飾る日を過ぎた、午前一時。

一日遅れのバレンタイン・デイに、とある女性から「花」を貰った。

「花」に疎い俺は、一つひとつの名称をたずねた。

彼女は、花の種類や名の由来を、丁寧に説明してくれた。

花をいたわるかのように、一本一本、両手で包み取りながら説明する彼女の横顔を見つめていた俺は、「美しい人だな」と思った。

彼女は、「憂い」に満ちた人だった。

彼女がたどってきた「道」は、“棘の道”といってもよかった。

普段の彼女からは、決して、そんな素振りはうかがえないが、彼女の瞳の奥には、これまで経てきた「時」のうつろいが秘められていた。

それは、人知れず、多くの涙を流してきた“瞳”の輝きだった。

琥珀色のランプシェイドの下で、「花」は、艶やかな色彩をまとい、優美な香りを放っていた。

しかし、そんな、華麗な「花」達も、彼女の“瞳”の美しさにはおとった。

ローマ帝国の統治下、まだ、キリスト教が公認されてはいない時代。

キリストの「愛」を伝えるために闘った、独りの殉教者。
「聖バレンティヌス」。

「無償の愛」。
“アガペー”を説き続け、散った「バレンティヌス」。

「花」をくれた、彼女の“瞳”の奥には、“バレンティヌス”の輝きが宿っていた。

「美しい瞳」

一日遅れの「聖」なる日。

二人に、永遠の祝福があるように。
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2007年12月25日

「折れたひざを伸ばして」

行き着いた先は、ガラス窓からランプの「灯り」と「グレツキ」の調べが漏れてくる、誰も知らない小さな「喫茶店」だった。

「胡桃色」の薄明かりさえをも避けるように、片隅にあるテーブルに身を落ち着かす。
ダークグレイのスーツに、ライトグレイのマフラーを肩からクロスさせ、その上にダークブラウンのハーフコートを身にまとったまま、スツールに腰を落とす。
そして、そのまま、漆黒の木壁に身を預ける。

街は、陽気な「クリスマス」気分に彩られていた。
イルミネーションに飾られた街灯が、行き交う人々の表情に映える。

しかし、その店だけは、違っていた。
『悲歌のシンフォニー』が、重く、そして、低く、響く。聖母マリアへの哀しい祈りが、切々と綴られている。

独り、誘いを断り、「孤独の時」を許した。
久しぶりだった。
「秒刻」から解放され、「時刻」に浸ることができるのは。
「時の鐘の音」に踊らされることもなく。

そう、もう「走る」ことは止めた。
果てしのないレールを過ぎ行きたとしても、その先には、また、別のレールが待っているからだ。

そう、もう神経を「切り刻む」ことは止めた。
「珈琲」の香りに身を包み、「煙草」の匂いに身を委ねることに決めたからだ。

気がつくと、第3楽章の終わりに近づいていた。
反復する和音のメロディは「憩い」を。歌声は「安らぎ」を願う祈りの言葉へと。
あたかも、「慈しみ」と「慰め」が、ランプシェイドの影を包み込むかのように。

折れたひざを伸ばし、「歩き」続けることにした。
決して、急がせることなく。
「時」のままに。
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2007年12月01日

「ニコ」

何だか疲れちまったよ。
いつまで、歌い続ければいいのか、ってな。

ヘイ、ニコ。
俺の代わりに歌ってくれよ。
「シャララララ」と。

ずいぶん、客にこびてきたさ。
歌いたくもねぇ、歌をな。

奴らだって、聴いちゃいないさ。
BGMにもなりゃしねぇ。
「スキャット」したところで、見向きもしねぇよ。

それでいて、毎夜、ステージに立たなきゃならねぇんだからな。

でも、ニコ。
お前だけだよ。
いつでも、リズムとってくれているのは。

「上等」じゃねぇって。
いくら着飾ったって、似合わねぇ奴には、似合わねぇよ。
それで「十分」だ。

さぁ、ステージが始まる時間だ。
ヘイ、ニコ。
客の入りは、どうだい?

金曜の晩にしちゃ、しけこんでいるな。
見ろよ、あのくだけた野郎ども。
フッ、それに、見てくれだけの……。

ま、いいさ。
マスター、いつもの調子で、頼むぜ。
ヘイ、ニコ。
俺が、調子を外したら、よろしくな。
ニコ。
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2007年11月15日

「グッド・バイ」

そう、走り続けてきたさ。
立ち止まることも知らずに。

しかし、君には、分からないだろう?

光の中で、闇の中で。
身を削りながら、神経を切り刻みながら。

少しずつ何かが流れ去っていくようで、涸れていきそうだった。
それでも……走り続けてきたさ。

けれども、もう、終わりにしよう。

まるで、枯渇した“泉”の底のようだ。

ひび割れた“底”を覗いてみるといい。

意識の底に澱んでいた“ドロ”をかき乱したかのように。
陰影の奥に潜んでた消しがたい“傷”が再び浮き上がるように。

君には、見えるかい?

分かるまい。
土台、分かるはずがない。
第一、分かろうともしないだろ?

「時を鳴らす鐘」をたたき続けることのみに、気を配る君には。
音色の調子が外れていても、気づかない君には。

一つ教えてあげようか。
「秒刻」の「針」だって、いつかは、その動きを止めるものさ。

だから?
「さよなら」と、君には伝えるよ。

そう、「グッド・バイ」とね。
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2007年11月11日

「バックパック・ブルース」

分かっているよ。

あんたに言われるまでもなく、そんなことは。
別に気取っているわけでもないさ。
生まれたときから「失格者」の烙印を押されていたんだろう。
だからって、俺のせいかい?

あんたたちが後生大事に抱えている「常識」ってものを、俺も身につけようとがんばってみたさ。
そう、あんたが、「世事に長けた仮面」をかぶり、「慣例」や「無関心」に身を預けながら、ひたすら生活の「安寧」のみに心砕くように。

俺も、世間のへりからこぼれ落ちないようにな。 

でもな、世の中には、変えることができるものと、できないものがあるみたいだ。
誰かが、どこかで、編んでしまった織物を、いまさら、ほぐすわけにもいかないのさ。

だからといって、この人生を美化するつもりはないぜ。
それでも、俺の人生なんだ。
たとえ、クソみたいな人生でもな。 
だから?
あんたは、あんただ。
そして?
俺は、俺だよ。

どうだい、話し合う術は、みつかりそうかい?
それとも、虚栄に満ちたこの世界に、杯を重ねるかい。
『ワルツィング・マチルダ』でも聞きながら。

あんたが煙草を吸うんだったら、火をつけてやってもいいぜ。

そう、「答えのない、問いかけ」にな。
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2007年10月12日

「ワイピング・クロス」

少しだけ、気分が落ち込んでいる様子ですね。
いつもの“笑み”が、翳っていますよ。

でも、無理に、微笑む必要はありません。
君は、君です。

笑っている時も。
泣いている時も。
どんな時も。

目の前が、少しだけ、“真っ暗”に感じるようでしたら、ちょっと目をつぶってみましょう。

そう。
そして、目を開けてごらん。
暗闇に、目が慣れてきたでしょう。

手にした鏡の中を覗いてごらん。
何が見えます?
光が灯っているのが見えますか。

その灯りは、君です。
悲しい時にこそ、君の「優しさ」の明かりが、灯ります。

「優しい」君だから、時に、ものごとに敏感になってしまうのですね。

けれども、「優しい」ということは、人として、一番、“優れている”ことではないでしょうか。

誤解しないでくださいね。
「優しさ」というのは、着飾った言葉ではありません。
飾った言葉は、いつしか、吹く風に飛ばされてしまいます。

優しさとは、人に思いを寄せる「心」です。
思いやる気持ちです。
そのためには、今以上に、君自身を慈しむようにしてください。
心をつくして、思いをつくして、君自身を、いたわってあげて下さい。

君の心に宿る“灯り”は、心が少しだけ“寒さ”を覚えている人にとって、憩いの“暖”となります。

そろそろ、夜が明けそうですね。
明けない“夜”は、けっしてありません。

昨日は、過ぎました。
今日は、君のためにあります。

今日も、晴れるといいですね。
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2007年09月20日

「暮れゆく雑踏の中で、独り」

ほのかに木犀の香りが、鼻こうをくすぐる。

気がつくと、季節は、秋の到来を告げていた。

朱色や黄色の鮮やかな緑色のかたまりが重なり合いながら、
黄昏時の風に枝をふるわせている。

街行く人々は、誰しもが、ひっきりなしにしゃべっている。
そして、雑多な音が入り交じり、喧騒へと。

「どうして、そんなにしゃべることがあるんだい?」

孤独と喪失に彩られた街中を、過ぎゆく人々を見つめながら。
独り、言葉を摘んだ。

全てに疲れていた、あの日……。
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2007年09月17日

「ジャングルランド」

ジャンキーが踊る“ジャングルランド”。

“迷路”をさまよい、陽の当たらない場所に身を隠すお前。

3番街と7番街を行き来し、何かを見つけることができたかい?
この“ジャングルランド”で。

全ては、消えていくさ。
同時に?
再び、浮かび上がるがな。

ただし?
ドレスアップだけは忘れるな。
誰に見られているか、分からない。
“パーティ”の日取りだけは、チェックしておいた方がいいぜ。

明日を迎えれば、闇は過ぎ去り、太陽が輝くだろう。
鞄が重ければ、どれか一つ、置いていけばいい。
ただし、裸足では歩くなよ。

この街じゃ、息をつく暇もない。
だからといって、“シャングリア”を探そうなんて考えない方がいいぜ。
いつのまにか、“迷路”どころか、自分自身を失っちまう。

それで、どうする?
強がってもいい。
泣いてもいい。
好きにするがいい。

しかし?
心が石のようじゃ、安らぎはないぜ。

誰かを愛したきゃ、まずは、自分自身を愛するんだな。
自分も愛せないで、どうして他人を愛せる?

それに?
いつまで、鏡にヒビがが入った“コンパクト”を持っているんだい。
それじゃ、綺麗なお前の顔が、歪んじまって見えるだろ?

終日を、冷たい“夜”で迎えたいのかい?

“夢”には、始まりが有り、終わりもある。
新たな“夢”をみるためにな。

必要だったら、ハンカチを貸すぜ。
お前の瞳に浮かんだ“雫”をぬぐい去るためにな。

もう一度、分かる時がくるさ。

どうだい?
気分直しに、いつもの店で。

歩きたいように、歩き。
語りたいように、語り。

そんな、複雑な道でもないぜ。

“ジャングルランド”のあの店で。

待っているぜ、お前が来るまで。
posted by Jhon Done at 00:00| Comment(0) | グーテ・ナハト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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