2007年07月01日

「はさまれたままの『栞』」

あの日まで、君は、心を閉ざしていた。

言葉、言葉、言葉……。
多くの言葉。
いくつもの言葉。
飾られた言葉。
無造作に投げ出された言葉。

その中で、君は、心を閉じていた。
一言でも発すると、失いそうに。
大事なものを。

幾重もの扉に身を隠し、独り、闇の中に。
「光」を請いながらも、身を沈めていた君。
パラドクシカルな物語。

こじ開けたわけでもなかった。
ドアをノックしただけだった。
そう、叩き続けただけだった。
耳を閉ざす君に、語り続けるために。

日々の“生活”に、“澱み”に。
時に、悩みながら。
人々の瞳にうつる「翳り」に息詰まりながらも。
言葉を失いそうになりながら。

それでも、救いは、言葉だった。
言葉に、まだ“力”があると信じていた。

言葉、言葉、言葉……。
「ノブ」に手をかけた君。
『明日は君のために』
言葉、言葉、言葉……。
『明日には、きっと良いことが』

ノブを廻し、扉の隙間から、世界を覗く君。

花開く季節。
君からの「便り」。
編み上げた花の冠。

君は?
扉を開け放った。

俺は?
読みかけの「本」に、「栞」をはさんだ。

そして?
再び、開くことは、無くなった。

短い季節の物語。

今でも、「栞」は、はさまれたままに。
もう、紐解くこともないだろう。
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2007年06月13日

「“エイダ”と“ベインズ”の物語」

「不安の萌芽」
そうつぶやいた君。

“ナイマン”のピアノ曲。
「……護るため」

“エイダ”と“ベインズ”の物語。

大きな秘密。
哀しい調べ。

「距離を置いた方がいい?」
言葉を得た“エイダ”

「わたしからは、死んでも言いたくない、4つの言葉を言わないで済むために」。
瞳の奥には“哀しみの泉”。

言葉を失った“ベインズ”
泉の底に沈んだままの「ピアノ」。

「自分にどんな犠牲を強いてでも……」。
ピアノの“鍵”を探し続ける“エイダ”

最初は、小さな芽。
やがて、時が、不安の影を。

「護り抜きたい……」
影に消える声。
ささやき消え入るように。

瑠璃色した泉の底に真昼の月が沈む。
“ベインズ”
言葉の奥の深い空洞。

「慈しみ、育んでいく価値のあるものだから……」
イノセント。
“エイダ”
無垢な情熱。

天蓋のように泉を覆う“ベインズ”の眼差し。
哀しげな笑み。

沈黙
「不安の萌芽」。
沈黙。

懐から取り出したピアノの鍵。
“ベインズ”
手のひらから滑り落ちる鍵。

泉へ。
泉の底へ。
底へ。

手を伸ばす“エイダ”
水中に身を投げ込む“エイダ”

泉の底に沈む“エイダ”のピアノ。
真昼の月が、泉の底に潜む。
“エイダ”の影が……瑠璃色に溶け込んでいく。

そして……。
月が落とす影に、身を寄せる君。

闇を包む“ナイマン”のピアノ曲。

“エイダ”と“ベインズ”の物語。
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2007年04月02日

「大きな枝が折れる前に」

「過ぎた時の欠片を拾い集めることは、哀しいことじゃない」。
だからといって、このクソのような人生を、美化するつもりはないが。

ただ、君に伝えたいことが、いや、俺、自身にだ。

枯れた心で生きることの虚しさよ。

失意、不安、寂寞、悪意、沈鬱、偽り、悲哀、憎悪。

この世は、哀しい。

しかし?

美しくもある。

雲間から一筋の明かり。
音もなく落ちる木の葉。
街頭の灯りに映る影。
木立に囲われた家々の暖。
月は空高く、風はないでいる。

何が見える?
何が聞こえる?

枯れた心の虚しさよ。

教えてくれ。
どうして、そんなに暗い顔をしているんだい?

少しくらい失敗したからといって、落ち込まなければならないのかい?
人生につまずいたからといって、自棄にならなければならないのかい?

葬送の曲を奏でるには、まだ早すぎる。

この世界が険しく映ったとしても、目の前のくすんだ夜明けに、たった一人ぼっちだと感じたとしても、これ以上、自身を貶める必要は、ないだろう?

希望の泉に、枯れた心を。

君にしても、俺にしても、もっと、幸せになれるはずだ。
もっと、陽気になれるずだ。

君の、そして、俺のために、祈り続けよう。

「煙立つ亜麻布が、いつまでも消えぬように」と。
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2007年03月31日

「ウェル・アルルカン」

受話器を降ろした時から分かっていたさ。
“ウェル”

お前の横顔。
膝を折り、両手を広げると、天に「救い」を求める“ポーズ”。
振り向きざま、首を小さく傾げ、両肩を上げるいつもの“ポーズ”。
そして、何でもなかったかのように、笑みをみせるお前。

いつでも、どんな時でも、他人の前では、道化師のように振る舞うお前。
“ウェル”
そのじつ内心は、計りしれない“空虚”に覆われていたお前。

叫びたかったんだろう?
声を荒げたかったんだろう?
心に幾重にも積み重なった「感情」を、吐き出したかったんだろう?

「いらだち」が「憤り」が、心の奥底でからまわりしながらも、表情だにすら表さないでいるお前。
お前の“理性”
抑制された“知性”
そんなものが、重要なのかい?

口を開けた傷口から“血”がほとばしるように、「怒り」をあらわしにたって良かったんだ。
声を限りに、叫んだって良かったんだ。
涙は、苦しみを和らげるために、必要なものなんだ。
“ウェル”

影が寄り添うように、あたりが陰影を深める中、暗がりに身を埋めるお前。
小止み無く降り続ける霧雨が、窓ガラスを叩き続ける。
一点を、じっとみつめたままのお前。
“ウェル”

俺は、お前に「同情」を寄せるつもりはない。
俺は、お前に「憐れみ」をかけるつもりもない。
そんなことを望んではいないことは分かっているからだ。

ただ、いつも何かを求めていたあの時のように、瞳に輝きが戻ることを、祈りたいだけだ。
“ウェル”
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2007年01月31日

「アデュー、“リード”」

奥歯が痛み出した。
相手に気取られまいと、そっと頬をさする。

「大切なことは、『人間的興味』だ」
神経質な黒い目。不信。そして、猜疑心。
1bの距離。
大きな“へだたり”

「ブラザー、君に求めているのは、その視点からのアプローチだ」
「人々の琴線に触れる“ヤツ”をな」
(ブラザー?)
見てくれの良さと尊大さ。
欺瞞。
「そして、もう一つ。『情報』を流せ」
懐柔。
「以上だ。何も聞くな」
(ビッグ・サー。それが、あんたの狙いだろ)

“クオリティ・ペーパー”?
気取ったって、“売文の輩”。
“ヒューマン・インタレスト”
大いに、結構。
クソッタレの“活字芸者”には、飽きていたのさ。
“ご都合主義の道徳的な高邁さ“にな。

“心の琴線”
“人間”をテーマにした記事
“日常的な視点”の記事
なんて「響きの良い言葉だ。
そう、「響き」だけはな。

しかし?
あんたが求めているものと、俺が追いかけるものとでは、違いがあることを知っていた方がいいぜ。

排水溝のような感性を持つ奴らに、何を“売る”?
答えは、“一つ”
死者の墓をあばき、白日に照らし出すことだ。
そう、過去の弔鐘をな。
そして?
汚穢に満ちた「この世界」を、そのまま活字に写し出せばいいのさ。
皮肉なユーモアをまぜてな。
簡単なことさ。

けれども、これだけは言っておくぜ。
「俺は、『ボス』だけは“売らない”」とな。
“ビッグ・サー”、あんたに、“魂”をあんたに預けるほど堕しちゃいない。

それに、“ビッグ・サー”
俺と「良好な関係」とやらを「結び」たいと考えるその前に、「記事」を訴えたらどうなるかってことを“心配”した方がいいぜ、これからは。

もう、“ジョン・リード”は、いない。
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2006年04月20日

「Golden sulumber」



そろそろ、一日が終わりそうかい。

それとも、まだ、心を沈ませているのかい。

どうして、一瞬一瞬を覚えていなければならないんだい?
次の角を曲がったら、何があるかだなんて、誰に分かる?
どれが正しくて、どれが間違っているかだなんて、誰が分かる?

「A」が違っていたら、「B」がある。
「B」が違っていたら?
アルファベットは、まだいくつもあるさ。

気が滅入っているようだったら……。
それとも、過去の出来事が未来に忍び込もうとしているのかい?
そんなときは、心のプラグを引き抜いて、
受話器からフックを外してしまえばいいのさ。

そして、悲しみのシーツを取り替えて、
月影が落とす長い影に、身を滑り込ませれば……。
やがて、まどろみが迎えにきれくれるさ。

当分、世界は滅びそうにもないって話だぜ。
少なくとも、「明日」は、確実にやってきそうだ。
だったら、「明日」に託せばいいさ。

さぁ、灯りを消して。
静寂の「時」の世界に身をまかせるのも良いものだ。

過ぎゆく、今日に、「サヨナラ」を。

Good night & Sleep tight

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2006年04月19日

「TAXI DANCER」


陽が落ちれば、夜は冷たいもんさ。

俺の言葉なんて、聞くたくも無いだろうから、この手紙は、「封」を切らずに、そのまま捨て置いてくれたって構わない。

ただの独り言だ。

街を流していると、色々な客が俺を捕まえようと、必死だ。
この不景気だっていうのにな。
送り届けてやるだけで「チップ」をはずんでくれるさ。
ま、その間、色々な「話」につきあわなきゃならないんだが。

それで、ちょっとしたことを小耳に挟んだんだ。

ドラッグストアの前で、赤い傘を差していたお前の事をな。

ダンスクラブで踊るお前は、この街じゃ、ちょっとは知られた顔だ。

それが、スーツケースを持ったまま、店の前で佇んでいたって話しだ。

車がはねた水しぶきで、コートを濡らしながら、誰を待つでもなく、立ちつくしていたと、客は、お前のことを、そう話していたよ。

お前にとっちゃ、余計な節介かも知れないが、俺にとっては、気になってな。

それで、客が途絶えたときなんかは、あの周辺を巡ってみたさ。
もちろん、店にも顔を出した。
お前は、いなかったがな。

それが、週末の話しだ。

噂では、「街を出ていった」って聞いたよ。
一曲1ドルで、にやけた野郎とダンスの相手をすることに飽きたんだろう、お前。

“ブルー”になっちまったのか?
割れた鏡のついたコンパクトをいつまでも、大事にしていたお前。
“夢”が壊れれちまったのか?

お前を傷つけちまった俺には、何も語る資格は無いが。
お前の沈んだ“瞳”が浮かんでしょうがないのさ。

今では、お前が、何を思い、何を望んでいるかなんて、知るわけもないがな。
ただ、お前の誕生日には、気のきいた香水くらいは、贈ろうと思ってもいたんだ。

それが、驚いたよ。
“リトル・マーマメイド”のあの店でお前を見つけたときには。
スツールに腰かけ、シガレットに火を点けながら、隣にいた奴と談笑していたお前の姿を見かけたとき。

店の中は、満員で、腰かける椅子もなかったが、戸口でお前を見つけたときには、心臓が張り裂けそうにもなったぜ。

喧噪に、紫煙が渦巻く中で、一際、光っていたお前。

一瞬、お前は振り向いて、俺を見た。
「時」が止まったかと思ったぜ。
そう、一瞬だったがな。

この街に、戻ってきたんだな。
“TAXI DANCER”

お前の席に、近づこうと思ったが、やめにした。

ラスト・オーダーには、まだ、十分、時間もあったが、俺は、街に車を流しに出ていった。
また、お前と会えると思ってな。

ホッとしたよ。
昔のような、輝いていたお前を見たときには。

俺は、ドラッグストアの傍らで待っている。

この手紙を読もうと読むまいと。
傘を持ってな。

曇っていても、晴れていても。
お前のために傘を差すためにな。

赤い傘を。
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2006年04月18日

「珈琲&シガレット」



灰皿に眠る吸い殻を数えるのをやめた。
火を点しては消し、消しては点すとことの繰り返し。

のどの渇きは、珈琲では、いやされることがなかった。
むしろ、5杯目あたりから、胃に痛みを覚えはじめていた。

腕時計に視線を落とす。

いったい、何を聞き出したいのかい?
いったい、何が知りたいのかい?

無意味な言葉が宙を乱舞し、交わることの笑みが互いの間をすり抜けていく。

十分すぎるくらいに、時は経った。

愛想を振りまけば良かったのか。
シニカルな冷笑を浮かべれば良かったのか。

それとも?
君たちのシナリオにそって、期待通りのセリフを、そして、表情を、店内の喧噪にとけ込ませれば良かったのか。

ただ、あいにくなことに、俺は、シナリオに目を通すことも、目を向けることもなかった。

吸いかけの煙草を、灰皿に押しつぶすと、残紺の糸が渦を巻きながら、宙に消えていく。

理解と無理解の重ね合いが、螺状線を描きながら過去へと消えていくように。

十分、時は経った。
灰皿の吸い殻が、数え切れないくらいに。
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2006年04月17日

「倦怠の内に……」


昨日と今日という道具立てに、何の変化があるのだろうか。
あいも変わらず、時計は歩みを続けている。

16日の次は、1日を積み重ね、17日となる。
それだけなのに。

にもかかわらず、憂鬱な朝を迎えた。
昨日まで、記憶の外に追いやっていた、色々なことども。
それらが、茫洋とした意識の中に。

「車輪疾駆の叫喚」と題されたパズル絵。

かけた空白。
ピースが“記憶”を引き戻す。
歯車の回転は鈍いものの。
耳障りなスタッカートのリズムをともなって。

そして、「日常」が完成される。

再び、氾濫するむなしい情報の渦中に身を投じるのだろうか。

答えの分かりきっている問いかけ。
自身に発しながら。
手帳に刻まれた一条のレールの上を沿う。

束縛を断ち切り鎖を解き放ったはずの精神。
再び、虚偽に満ちた世界の中に、「痛み」を覚えていくのだろうか。

狂想曲に追い立てられるようにして。

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2006年04月16日

「レイン・バード」



この世は悲しい?
そう、そうかもしれませんね。

君の「瞳」に浮かんだ「涙」を、ぬぐい去ることができませんでした。

昼間、篠突いでいた“銀の糸”が、午後の名残りから闇が深まるにつれ、突き刺すような“銀の矢”へと変わっていきました。

君は、覚えていますか?
公園のベンチで、凍てつく雨に打たれながら、つぶやいたことを。

誰が雨を止めてくれるの。
誰が悲しみを和らげてくれるの。
誰が痛みを鎮めてくれるの。

木々の葉の間に身を隠した、蜘蛛の巣が心細そうに揺れていましたね。

苦しみよ、風に舞え。
哀しみよ、風に詩え。

「この世は悲しい?」

銀色の雨粒を滴り落としている楡の木。

しかし……。
しかし、美しいはずです。
もっと豊かで、もっと素晴らしく、そして、もっと自由で。

そう、信じています。
虚しさは希望へと、哀しみは喜びへと。

やがて、雨は、すべてを押し流していくことでしょう。

君の心に沈んだ哀しみや痛みが、塵芥とともに消えていくことを、祈っています。

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